【自宅で簡単】糖尿病の検査方法：自分でできる血糖値チェック
糖尿病は、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。初期段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。しかし、放置すると、神経障害、腎臓病、網膜症など、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。そのため、定期的な検査で早期発見・早期治療を行うことが非常に重要です。
病院での検査が最も確実ですが、自宅でもできる検査方法があります。ここでは、自宅でできる糖尿病の検査方法と、その注意点について詳しく解説します。
## なぜ自宅で糖尿病検査をするのか？
* **早期発見の可能性**: 糖尿病は初期症状が少ないため、定期的な検査が重要です。自宅での検査は、病院に行く時間がない場合でも、手軽に血糖値をチェックできます。
* **生活習慣の見直し**: 自宅で定期的に血糖値を測ることで、食生活や運動習慣が血糖値に与える影響を意識しやすくなります。これにより、生活習慣の改善につながる可能性があります。
* **病院受診の判断材料**: 自宅での検査結果が異常値を示した場合、速やかに医療機関を受診する判断材料となります。
## 自宅でできる糖尿病検査の種類
自宅でできる糖尿病検査は、主に以下の2種類があります。
1. **血糖測定器（グルコースメーター）を使った血糖値測定**
2. **尿糖試験紙を使った尿糖測定**
### 1. 血糖測定器（グルコースメーター）を使った血糖値測定
血糖測定器は、指先から採取した血液中のグルコース（血糖）濃度を測定する機器です。比較的正確な血糖値を測定できるため、糖尿病の自己管理や、血糖値の変動を把握するために広く利用されています。
#### 血糖測定器の選び方
* **測定の簡便さ**: 操作が簡単で、測定時間が短いものを選びましょう。高齢者の方や、初めて使う方でも扱いやすいものがおすすめです。
* **必要な血液量**: 必要な血液量が少ないものほど、痛みを感じにくく、測定しやすいです。
* **データ記録機能**: 測定結果を記録できる機能があると、血糖値の変動を把握しやすく、医療機関を受診する際に役立ちます。
* **ランニングコスト**: センサー（穿刺針、測定チップ）の価格を確認し、継続的に使用できる範囲のコストであるか確認しましょう。
* **メーカーとサポート**: 信頼できるメーカーを選び、万が一の故障や疑問点がある場合にサポートを受けられる体制が整っているか確認しましょう。
#### 血糖測定器を使った血糖値測定の手順
**準備するもの**:
* 血糖測定器本体
* 穿刺器具（ランセット）
* 測定チップ（センサー）
* 消毒用アルコール綿
* 絆創膏
**測定手順**:
1. **手を洗う**: 石鹸と流水で手を洗い、清潔な状態にします。アルコール綿で指先を消毒する場合は、アルコールが完全に乾いてから穿刺します。（アルコールが残っていると、血糖値が低く測定される可能性があります。）
2. **穿刺器具（ランセット）の準備**: 穿刺器具に新しい針（ランセット）をセットします。針の深さを調整できる場合は、痛みが少ないように浅めに設定します。（初めての方は、一番浅い設定から試すのがおすすめです。）
3. **測定チップの準備**: 血糖測定器に新しい測定チップ（センサー）をセットします。機種によっては、測定チップをセットすると自動的に電源が入るものもあります。
4. **穿刺**: 指先（指の側面が痛みが少ない）を穿刺器具で軽く刺します。強く押し付けると痛みが増すため、優しく押し当てます。
5. **血液の採取**: 指先から血液を絞り出します。機種によって必要な血液量は異なりますが、測定チップに十分な量の血液が付着するようにします。血液量が不足している場合は、エラーが表示されることがあります。（無理に絞り出すと、組織液が混ざり、正確な測定結果が得られない可能性があります。）
6. **測定**: 測定チップに血液が付着すると、自動的に測定が開始されます。数秒から数十秒で測定結果が表示されます。
7. **止血**: 穿刺部位をアルコール綿などで軽く押さえ、止血します。出血が止まらない場合は、絆創膏を貼ります。
8. **記録**: 測定結果を記録します。測定日時、食前・食後などの情報を一緒に記録すると、血糖値の変動を把握しやすくなります。
9. **廃棄**: 使用済みの穿刺針（ランセット）は、医療廃棄物として適切に処理する必要があります。自治体の指示に従い、安全に廃棄してください。一般的な家庭ごみとして廃棄することはできません。
#### 血糖測定時の注意点
* **清潔な状態**: 手を洗って清潔な状態で測定しましょう。指先に汚れや水分が付着していると、正確な測定結果が得られない可能性があります。
* **穿刺部位**: 指先（指の側面）は、痛みが少ないため、穿刺部位として適しています。毎回同じ場所を穿刺すると、皮膚が硬くなることがあるため、場所を変えるようにしましょう。
* **血液量**: 測定チップに必要な血液量を守りましょう。血液量が不足していると、エラーが表示されたり、正確な測定結果が得られないことがあります。無理に絞り出すと、組織液が混ざり、測定結果が不正確になる可能性があります。
* **測定時間**: 食前・食後など、測定時間を一定にすることで、血糖値の変動を比較しやすくなります。医師の指示に従い、適切なタイミングで測定しましょう。
* **機器のメンテナンス**: 血糖測定器は、定期的にメンテナンスを行う必要があります。取扱説明書に従い、清掃や校正を行いましょう。
* **測定結果の解釈**: 測定結果は、あくまで目安として考えましょう。異常値が続く場合は、医療機関を受診し、医師の診断を受けてください。自己判断で薬の量を調整したり、治療を中断したりすることは、非常に危険です。
#### 血糖測定のタイミング
医師の指示に従うのが最も重要ですが、一般的には以下のタイミングで測定することが推奨されます。
* **空腹時血糖**: 食事をしていない状態で測定します。通常は、朝食前に測定します。
* **食後血糖**: 食後1～2時間後に測定します。食後の血糖値の上昇を把握することができます。
* **就寝前血糖**: 就寝前に測定します。夜間の低血糖を予防するために役立ちます。
### 2. 尿糖試験紙を使った尿糖測定
尿糖試験紙は、尿中に含まれるグルコース（糖）の量を測定する試験紙です。尿糖は、血糖値が一定値を超えると尿中に排出されるため、尿糖の有無を調べることで、血糖値が高い状態であるかどうかを推測することができます。
ただし、尿糖検査は、血糖値が直接測定できる血糖測定器に比べて、精度が低いというデメリットがあります。また、腎臓の機能が低下している場合や、妊娠中など、血糖値が高くなくても尿糖が陽性になることがあります。そのため、尿糖検査は、あくまでスクリーニング検査として利用され、確定診断のためには、血液検査が必要です。
#### 尿糖試験紙の選び方
* **感度**: 尿糖試験紙には、感度の高いものと低いものがあります。感度が高いものほど、微量の尿糖でも検出できます。初めて使う場合は、感度の高いものを選ぶのがおすすめです。
* **色見本**: 尿糖試験紙には、測定結果を判定するための色見本が付属しています。色見本が見やすく、判定しやすいものを選びましょう。
* **保存方法**: 尿糖試験紙は、湿気や光に弱い性質があります。保存方法が適切であるか確認し、期限内に使用するようにしましょう。
#### 尿糖試験紙を使った尿糖測定の手順
**準備するもの**:
* 尿糖試験紙
* 清潔な紙コップ
* タイマー
**測定手順**:
1. **採尿**: 清潔な紙コップに尿を採取します。中間尿（排尿の最初と最後を除いた尿）を採取するのが、より正確な結果を得るためのポイントです。
2. **試験紙の浸漬**: 尿糖試験紙を尿に浸します。試験紙全体が尿に浸るように、数秒間浸します。
3. **余分な尿の除去**: 試験紙を尿から取り出し、余分な尿を軽く振り落とします。
4. **判定**: 試験紙に色が現れるので、指定された時間（通常は30秒～1分）後に、試験紙の色を色見本と比較し、尿糖の値を判定します。
5. **記録**: 測定結果を記録します。測定日時、食前・食後などの情報を一緒に記録すると、尿糖の変動を把握しやすくなります。
#### 尿糖測定時の注意点
* **清潔な状態**: 清潔な紙コップを使用し、尿を採取しましょう。不衛生な容器を使用すると、正確な測定結果が得られない可能性があります。
* **中間尿**: 中間尿を採取することで、より正確な結果を得ることができます。排尿の最初と最後は、細菌や異物が混入している可能性があるため、避けましょう。
* **試験紙の浸漬時間**: 試験紙を尿に浸す時間は、指定された時間を守りましょう。浸漬時間が長すぎたり、短すぎたりすると、正確な測定結果が得られない可能性があります。
* **判定時間**: 試験紙の色を判定する時間は、指定された時間を守りましょう。判定時間が長すぎたり、短すぎたりすると、正確な測定結果が得られない可能性があります。
* **色見本との比較**: 試験紙の色と色見本を比較する際は、明るい場所で行いましょう。暗い場所では、色の識別が難しく、判定を誤る可能性があります。
* **測定結果の解釈**: 測定結果は、あくまで目安として考えましょう。陽性反応が出た場合は、医療機関を受診し、医師の診断を受けてください。自己判断で薬の量を調整したり、治療を中断したりすることは、非常に危険です。
#### 尿糖測定のタイミング
医師の指示に従うのが最も重要ですが、一般的には以下のタイミングで測定することが推奨されます。
* **空腹時尿**: 食事をしていない状態で採取した尿で測定します。通常は、朝一番の尿で測定します。
* **食後尿**: 食後1～2時間後に採取した尿で測定します。食後の尿糖の状態を把握することができます。
## 自宅での検査結果と病院受診の目安
自宅での検査結果は、あくまで目安として考えましょう。異常値が続く場合や、体調に異変を感じる場合は、速やかに医療機関を受診し、医師の診断を受けてください。
* **血糖値**: 空腹時血糖値が126mg/dL以上、または食後2時間血糖値が200mg/dL以上の場合は、糖尿病の疑いがあります。早めに医療機関を受診しましょう。
* **尿糖**: 尿糖が陽性の場合、血糖値が高い可能性があります。早めに医療機関を受診しましょう。
また、以下のような症状がある場合は、糖尿病の可能性が高いので、早めに医療機関を受診しましょう。
* **喉の渇き、多飲**: 異常に喉が渇き、水分をたくさん摂る。
* **多尿**: 尿の回数や量が増える。
* **体重減少**: 食べているのに体重が減る。
* **疲れやすい**: 疲れやすく、倦怠感が続く。
* **視力低下**: 目がかすむ、視力が低下する。
* **手足のしびれ**: 手足がしびれる、感覚が鈍くなる。
* **傷が治りにくい**: 傷が治りにくくなる。
## 糖尿病予防のためにできること
糖尿病は、生活習慣の改善によって予防できる病気です。以下の点に注意し、健康的な生活を送りましょう。
* **バランスの取れた食事**: 栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。野菜、果物、全粒穀物、タンパク質、健康的な脂質をバランスよく摂りましょう。糖分の多い食品や、加工食品は控えめにしましょう。
* **適度な運動**: 定期的な運動は、血糖値を下げる効果があります。ウォーキング、ジョギング、水泳など、自分に合った運動を続けましょう。
* **十分な睡眠**: 睡眠不足は、血糖値を上昇させる可能性があります。毎日7～8時間の睡眠を確保しましょう。
* **ストレス管理**: ストレスは、血糖値を上昇させる可能性があります。ストレスを溜め込まないように、趣味やリラックスできる時間を持つようにしましょう。
* **禁煙**: 喫煙は、糖尿病のリスクを高めます。禁煙を心がけましょう。
* **定期的な健康診断**: 定期的な健康診断を受け、血糖値やその他の健康状態をチェックしましょう。早期発見・早期治療が大切です。
## まとめ
自宅でできる糖尿病検査は、早期発見・早期治療に役立つ便利な方法です。しかし、自宅での検査結果は、あくまで目安として考え、異常値が続く場合や、体調に異変を感じる場合は、速やかに医療機関を受診し、医師の診断を受けてください。生活習慣の改善によって、糖尿病を予防することも可能です。健康的な生活を送り、糖尿病から身を守りましょう。
