雨樋DIYガイド：自分でできる塩ビ雨樋の設置方法【完全版】
雨樋は、住宅を雨水から守るために非常に重要な役割を果たしています。雨水を適切に排水することで、建物の基礎や外壁の劣化を防ぎ、カビや腐食のリスクを軽減します。業者に依頼すると費用がかさむため、DIYで設置したいと考える方も多いのではないでしょうか。この記事では、DIY初心者でもわかりやすく、塩ビ製の雨樋を自分で設置する方法を徹底解説します。必要な道具から具体的な手順、注意点まで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
なぜ雨樋が必要なのか？
雨樋の役割を理解することは、DIYのモチベーションを高める上で重要です。雨樋は、屋根に降った雨水を効率的に集め、排水口へと導く役割を担っています。
* **建物の保護:** 雨水が直接外壁に流れ込むのを防ぎ、外壁の汚れや劣化を抑制します。また、基礎部分への浸水を防ぎ、建物の耐久性を向上させます。
* **庭や周囲の保護:** 雨水が一箇所に集中して流れ込むのを防ぎ、庭の土壌流出や植物の損傷を防ぎます。また、隣家への迷惑を軽減します。
* **快適な生活環境の維持:** 雨だれによる騒音を軽減し、玄関先や通路の雨水を防ぎ、快適な生活環境を維持します。
雨樋がない場合、これらの問題が発生しやすくなり、結果的に修繕費用がかさむ可能性があります。
塩ビ雨樋を選ぶ理由
雨樋には、塩ビ（PVC）、金属（ガルバリウム鋼板、ステンレスなど）、樹脂など様々な素材があります。ここでは、DIYで塩ビ雨樋を選ぶメリットについて解説します。
* **価格の安さ:** 塩ビ製の雨樋は、他の素材に比べて価格が安く、初期費用を抑えることができます。DIYで設置する場合、材料費を抑えることは大きなメリットです。
* **加工のしやすさ:** 塩ビは、のこぎりやカッターナイフで簡単に切断できるため、DIY初心者でも扱いやすい素材です。専用の接着剤で接続するため、溶接などの特殊な技術は必要ありません。
* **軽量性:** 塩ビ製の雨樋は軽量であるため、一人でも簡単に持ち運びや設置が可能です。高所作業を行う際にも、負担を軽減することができます。
* **耐候性:** 塩ビは、紫外線や雨風に強く、耐久性に優れています。長期間にわたって雨樋の機能を維持することができます。
* **入手しやすさ:** ほとんどのホームセンターで取り扱っており、必要な材料を簡単に揃えることができます。様々なサイズや形状のものが販売されているため、自宅の屋根に合ったものを選びやすいです。
ただし、塩ビは他の素材に比べて耐熱性が低いというデメリットもあります。高温になる場所では、変形する可能性があるため注意が必要です。
必要な道具と材料
雨樋の設置に必要な道具と材料を事前に準備しておくことで、作業をスムーズに進めることができます。以下に、一般的な道具と材料をリストアップしました。
道具
* **メジャー:** 雨樋の長さや勾配を測るために使用します。
* **水平器:** 雨樋の水平を保つために使用します。
* **のこぎりまたはパイプカッター:** 雨樋を切断するために使用します。パイプカッターの方が、切断面が綺麗に仕上がります。
* **カッターナイフ:** 塩ビパイプのバリ取りや、細かい調整に使用します。
* **ヤスリ:** 切断面を滑らかにするために使用します。
* **接着剤:** 塩ビパイプ同士を接着するために使用します。専用の接着剤を使用してください。
* **ドライバー:** 金具を取り付ける際に使用します。電動ドライバーがあると便利です。
* **脚立または梯子:** 高所作業を行う際に使用します。安全に配慮して使用してください。
* **ハンマー:** 金具を固定する際に使用します。
* **鉛筆またはマジック:** 印をつける際に使用します。
* **安全メガネ:** 切断作業時に目を保護するために使用します。
* **軍手:** 作業中の怪我を防ぐために使用します。
材料
* **雨樋本体:** 屋根の形状や大きさに合わせて適切な長さのものを選びます。軒樋（のきどい）と竪樋（たてどい）が必要です。
* **軒樋受け金具:** 軒樋を固定するための金具です。軒先の形状に合わせて選びます。種類がたくさんあるので、お店の人に相談することをおすすめします。
* **集水器:** 軒樋から竪樋へ雨水を集めるための部品です。
* **竪樋:** 地面まで雨水を排水するためのパイプです。
* **竪樋固定金具:** 竪樋を壁に固定するための金具です。
* **エルボ:** 竪樋の角度を調整するために使用します。
* **接着剤:** 塩ビパイプ同士を接着するために使用します。専用の接着剤を使用してください。
* **雨水マスまたは排水口:** 竪樋から排水された雨水を受け止めるためのマスまたは排水口です。
* **シーリング材:** 防水性を高めるために使用します。（必要に応じて）
* **ビスまたは釘:** 金具を固定するために使用します。材質に合ったものを選んでください。
これらの道具と材料は、ホームセンターなどで購入することができます。事前に必要なものをリストアップし、不足がないように準備しておきましょう。
雨樋設置の手順
雨樋の設置は、以下の手順で行います。安全に注意しながら、丁寧に作業を進めていきましょう。
1. 事前準備
* **安全確保:** 高所作業を行うため、脚立や梯子の安定性を確認し、ヘルメットや安全帯を着用するなど、安全対策を徹底してください。
* **設計図の作成:** 雨樋の配置や勾配、排水口の位置などを事前に計画し、設計図を作成しておくと、作業がスムーズに進みます。屋根の形状や面積を考慮し、適切な長さの雨樋を選びましょう。
* **軒先の清掃:** 軒先にゴミや汚れが付着していると、金具の取り付けが不安定になるため、事前に清掃しておきましょう。
* **古い雨樋の撤去:** 古い雨樋が設置されている場合は、事前に撤去しておきます。金具が錆び付いている場合は、潤滑剤を使用すると外しやすくなります。
2. 軒樋受け金具の取り付け
* **位置決め:** 設計図に基づいて、軒樋受け金具を取り付ける位置を決めます。一般的には、60cm～90cm間隔で設置します。軒樋の勾配を考慮して、最も高い位置から順番に取り付けていきます。
* **仮固定:** 軒樋受け金具を仮止めし、水平器で水平を確認します。雨水がスムーズに流れるように、適切な勾配を確保してください。一般的には、1mあたり5mm程度の勾配が目安です。
* **本固定:** 水平を確認したら、ビスまたは釘で軒樋受け金具をしっかりと固定します。金具がグラグラしないように、確実に固定してください。下地がない場合は、下地材を入れるなどの対策が必要です。
3. 軒樋の取り付け
* **切断:** 軒樋の長さを測り、のこぎりまたはパイプカッターで必要な長さに切断します。切断面は、ヤスリで滑らかに仕上げてください。切りすぎに注意し、少し長めに切断して、微調整すると良いでしょう。
* **軒樋の設置:** 切断した軒樋を、軒樋受け金具に取り付けていきます。金具にしっかりと固定されているか確認してください。軒樋同士を接続する場合は、専用の接続金具を使用します。接続部分には、シーリング材を塗布して防水性を高めると良いでしょう。
* **集水器の取り付け:** 軒樋の最も低い位置に、集水器を取り付けます。集水器は、軒樋から竪樋へ雨水を集めるための部品です。集水器の取り付け位置は、排水口の位置に合わせて調整してください。
4. 竪樋の取り付け
* **長さの測定:** 集水器から地面までの距離を測り、竪樋に必要な長さを算出します。地面に直接排水する場合は、雨水マスまたは排水口を設置し、竪樋の先端がマスまたは排水口に届くように長さを調整してください。
* **切断:** 竪樋の長さを測り、のこぎりまたはパイプカッターで必要な長さに切断します。切断面は、ヤスリで滑らかに仕上げてください。
* **竪樋の設置:** 竪樋を、集水器に取り付けます。エルボを使用して、竪樋の角度を調整し、壁に沿って垂直に設置します。
* **竪樋固定金具の取り付け:** 竪樋を壁に固定するために、竪樋固定金具を取り付けます。一般的には、1m～1.5m間隔で設置します。金具がグラグラしないように、確実に固定してください。
5. 最終確認
* **水漏れチェック:** 雨樋全体に水を流し込み、水漏れがないか確認します。接続部分や金具の取り付け部分から水漏れがある場合は、シーリング材を追加塗布するなどの対策が必要です。
* **勾配の確認:** 雨水がスムーズに排水されるか確認します。勾配が不十分な場合は、軒樋受け金具の位置を調整して、勾配を調整してください。
* **清掃:** 作業で使用した道具や材料を片付け、周囲を清掃します。
雨樋設置の注意点
雨樋の設置には、いくつかの注意点があります。以下の点に注意して、安全かつ確実に作業を進めてください。
* **安全第一:** 高所作業を行うため、安全対策を徹底してください。脚立や梯子の安定性を確認し、ヘルメットや安全帯を着用するなど、安全に配慮して作業を行ってください。無理な体勢での作業は避け、休憩を挟みながら作業を進めてください。
* **正確な計測:** 雨樋の長さや勾配を正確に計測することが重要です。計測を誤ると、雨水がスムーズに排水されなかったり、水漏れの原因になったりする可能性があります。メジャーや水平器を使用して、正確に計測してください。
* **適切な接着剤の使用:** 塩ビパイプ同士を接着する際には、必ず専用の接着剤を使用してください。他の接着剤を使用すると、接着力が弱く、水漏れの原因になる可能性があります。接着剤の使用方法をよく読んで、正しく使用してください。
* **確実な固定:** 軒樋受け金具や竪樋固定金具は、しっかりと固定してください。固定が不十分だと、雨樋が落下する危険性があります。ビスまたは釘で確実に固定し、金具がグラグラしないか確認してください。
* **メンテナンス:** 雨樋は、定期的なメンテナンスが必要です。年に数回、ゴミや落ち葉を取り除くことで、雨水の排水をスムーズに保つことができます。また、定期的に水漏れがないか確認し、必要に応じて補修を行ってください。
* **専門業者への相談:** DIYでの雨樋設置に不安がある場合は、専門業者に相談することをおすすめします。専門業者は、適切な雨樋の選定から設置まで、専門的な知識と技術で対応してくれます。
DIY雨樋設置のメリットとデメリット
DIYで雨樋を設置することには、メリットとデメリットがあります。それぞれの側面を理解した上で、DIYに挑戦するかどうかを検討しましょう。
メリット
* **費用を抑えられる:** 業者に依頼するよりも、材料費だけで済むため、費用を大幅に抑えることができます。
* **自分のペースで作業できる:** 時間や日程を自由に調整できるため、自分のペースで作業を進めることができます。
* **達成感を味わえる:** 自分で雨樋を設置することで、達成感を味わうことができます。DIYのスキルアップにもつながります。
デメリット
* **時間と労力がかかる:** 作業には、時間と労力がかかります。特に、高所作業は体力が必要です。
* **失敗するリスクがある:** DIY初心者の場合、作業に失敗するリスクがあります。失敗すると、材料費が無駄になったり、怪我をする可能性もあります。
* **専門的な知識が必要:** 雨樋の選定や設置には、専門的な知識が必要です。知識がないまま作業を進めると、不具合が発生する可能性があります。
* **保証がない:** DIYで設置した場合、業者による保証はありません。万が一、不具合が発生した場合でも、自己責任で対応する必要があります。
## まとめ
この記事では、DIYで塩ビ製の雨樋を設置する方法について詳しく解説しました。必要な道具や材料の準備から、具体的な手順、注意点まで、DIY初心者でもわかりやすく解説しましたので、ぜひ参考にしてください。DIYで雨樋を設置することで、費用を抑えることができるだけでなく、達成感を味わうことができます。ただし、安全に注意し、正確な計測と丁寧な作業を心がけてください。DIYに不安がある場合は、専門業者に相談することも検討しましょう。雨樋を正しく設置し、建物を雨水から守り、快適な生活環境を維持しましょう。
