
【徹底解説】接近禁止命令(保護命令)の取得方法:DV・ストーカー被害から身を守る
【徹底解説】接近禁止命令(保護命令)の取得方法:DV・ストーカー被害から身を守る DV(ドメスティックバイオレンス)やストーカー被害に遭われている方にとって、接近禁止命令(保護命令)は、身の安全を確保するための重要な手段です。しかし、どのような場合に申し立てが可能で、どのような手続きが必要なのか、わかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。 この記事では、接近禁止命令の取得方法について、要件、手続き、費用、注意点などを徹底的に解説します。被害に遭われている方、あるいは周囲にそのような方がいる場合、ぜひ参考にしてください。 ## 1. 接近禁止命令(保護命令)とは? 接近禁止命令(保護命令)とは、DV防止法やストーカー規制法に基づき、裁判所が加害者に対して、被害者への接近を禁止する命令です。この命令が出ることで、加害者は被害者の住居、勤務先、その他普段いる場所に近づくことができなくなります。また、電話、メール、SNSなどによる連絡も禁止されます。 接近禁止命令は、被害者を加害者から物理的に隔離し、更なる被害を防ぐことを目的としています。違反した場合は、加害者には刑事罰が科せられます。 ## 2. 接近禁止命令を申し立てるための要件 接近禁止命令を申し立てるためには、以下の要件を満たす必要があります。DV防止法に基づく場合と、ストーカー規制法に基づく場合で、要件が異なります。 ### 2.1 DV防止法に基づく場合 DV防止法に基づく接近禁止命令は、配偶者(事実婚を含む)からの暴力によって生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合に申し立てることができます。具体的には、以下の要件を満たす必要があります。 * **配偶者からの暴力があったこと:** 殴る、蹴る、物を投げつけるなどの身体的な暴力だけでなく、精神的な暴力(暴言、無視、脅迫など)、性的な暴力も含まれます。 * **暴力によって生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと:** 過去の暴力の程度、頻度、態様などから判断されます。一度の暴力で重傷を負った場合だけでなく、継続的な暴力によって精神的に追い詰められている場合も該当する可能性があります。 * **申立て時に配偶者との同居関係がないこと(一部例外あり):** 接近禁止命令は、別居していることを前提としています。ただし、DV被害者がシェルターに入所している場合など、同居していても申し立てが可能な場合があります。 ### 2.2 ストーカー規制法に基づく場合 ストーカー規制法に基づく接近禁止命令は、ストーカー行為によって生命または身体に重大な不安を覚え、または生命または身体に危害を受けるおそれが大きい場合に申し立てることができます。具体的には、以下の要件を満たす必要があります。 * **ストーカー行為があったこと:** つきまとい、待ち伏せ、尾行、監視、執拗な電話、メール、SNSでの連絡、名誉毀損、性的嫌がらせ、粗野な言動など、ストーカー規制法で定められた行為に該当する必要があります。 * **ストーカー行為によって生命または身体に重大な不安を覚え、または生命または身体に危害を受けるおそれが大きいこと:** ストーカー行為の内容、期間、頻度、態様などから判断されます。ストーカー行為によって精神的に追い詰められている場合や、実際に危害を加えられた場合などが該当します。 * **警察署長等による警告を経ていること:** 原則として、事前に警察署長等から加害者に対して、ストーカー行為を止めるよう警告が行われている必要があります。ただし、緊急性が高い場合は、警告なしに接近禁止命令を申し立てることができます。 ## 3. 接近禁止命令の申し立て手続き 接近禁止命令の申し立ては、裁判所に対して行います。手続きは、DV防止法に基づく場合と、ストーカー規制法に基づく場合で、ほぼ共通しています。 ### 3.1 申し立て先の裁判所 申し立て先の裁判所は、原則として以下のいずれかの所在地を管轄する地方裁判所です。 * 被害者の住所地 * 加害者の住所地 * 暴力またはストーカー行為が行われた場所 ### 3.2 申し立てに必要な書類 申し立てには、以下の書類が必要になります。 * **接近禁止命令申立書:** 裁判所のウェブサイトからダウンロードできる書式を使用するか、弁護士に作成を依頼します。申立書には、被害状況、加害者の情報、接近禁止命令を求める理由などを詳しく記載します。 * **証拠資料:** 暴力を受けたことを示す診断書、写真、メール、SNSのメッセージ、警察への相談記録、第三者の証言など、客観的な証拠を提出します。ストーカー行為の場合は、つきまとい行為の写真、録音データ、メール、SNSのメッセージなどを提出します。 * **住民票、戸籍謄本:** 被害者と加害者の関係を示す書類として、住民票や戸籍謄本が必要になる場合があります。 * **その他:** 必要に応じて、陳述書、意見書などを提出します。 ### 3.3 […]